地図を買いに。

 1週間前のことになるのですが、地図を買いにフィレンツェまで行ってきました。といっても、地図屋さんとか、大型書籍店に行ったのではありません。目的はIstituto Geografico Militale(軍地理局)本部。

 ここしばらくアレッツォ周辺地域の調査をしていたのですけど、町の周辺部分の地図がどうしても必要に。でもどの本屋を回っても、図書館を回っても、必要な部分の地図がない。
「等高線も刻まれた、10万分の1ぐらいの全域地図が欲しいんですけど…」
と教授に相談したところ、「I.G.M.ならあるだろうけど…。」との返事。最初はI.G.M.に?だったんですが、正式名称を聞いて納得。何時間も街中を探し回るよりも、片道1時間の電車でフィレンツェの本部まで買いに行った方が早いと思って、昼過ぎに電車に飛び乗りました。

 I.G.M.こと軍地理局は、フィレンツェの中央駅から歩いて五分ほど、展示会なども行われるフィレンツェ城砦公園の目の前にあります。

 まだまだ勤務時間内だったのですが、すごーく広いカウンターにお客さんは私ひとり…。そのぶん丁寧に応対していただけたのですけど。いろいろ地図を引っ張り出してもらったのですが悩んだ末に10万分の1の地図4枚、2万5千分の1の地図1枚購入。しめて30ユーロ83セント。ちょっと高いですけど、日本人と分かると、おまけにイタリア半島の古地図を模したポスターを3枚ただで渡してくれました。いや、申し訳ないです、と最初は断ったのですけど、「なに、遠いところから来てるんだ」と一言。いや実際はアレッツォから来たんですけど、と言いかかった言葉を飲み込んでいただきました。かなりうれしかったり。おじさん、ありがとう!

 現在ではほぼすべての地図データはデジタル化されて販売されてもいるのですけれど、デジタルデータになるととたんに値段が飛び上がります。10万分の1の地図は50年代に作成されたものなので、現存の地図をほぼそのままJPEG化したものらしいのですが、CD-Rで1枚なんと18ユーロとのこと。近年の地図に関してはベクターデータ化されているらしいのですけど、窓口担当者もよくわかっていないようで要領を得なかったので、今回は値段のこともあり断念。地道にスキャニングして編集しています。

 ちなみにイタリアには日本の国土地理院に当たる役所はなく、ほぼすべて軍が管理しているようです。まぁ、地勢=国土防衛なので、当然といえば当然ですね。一応地域ごとに、地理事務所みたいなところはあるようですが、そこは軍地理局のデータを利用して地方における地勢の研究と政策提言をしているみたい。

 ちなみにちなみに、フランス、ドイツには国土地理院的な役所があるみたいです。

Istituto Geografico Militare
http://www.igmi.org/