イタリア大学制度についてのメモ。

 そろそろ2008年度のイタリア留学準備が本格化してきます。周りの語学留学生たちからあれこれ質問も多いので、ここにまとめ書き。とりあえず今日はイタリアの大学制度について。ですがイタリアの教育制度は現在改定のまっただなかで、私がここに書く情報は2006-07年度における私の私見です。詳細に関しては以下の記述を参考にご自分でお調べください。

大学の各コースと履修期間

1.CORSI DI LAUREA(学位取得コース)
 入学資格は高等学校卒業以上。期間は最低3年。3年過程を意味するトリエンナーレとも呼ばれます。単位が取れなければそれ以上在籍できるのは以下どのコースでもほぼ同じだと思います。ただ外国人学生の場合、一定の試験を受け単位をとらなければ滞在資格を失うことにもなります。これも以下のコースについても同じ。

 学費はだいたいどこも日本円で年間10万円ぐらい。入学金いれてもそんなものです。安い。
 おまけに豊富な返金制度、奨学金制度があり、それらの制度は日本と違い、返金する必要がほぼありません。学食も、ある奨学金対象者はただとなったりするので、多くの学生がこれらの制度を使ってただでたっぷりご飯を食べています。ちなみに学食はこの奨学金がなければだいたい4〜7ユーロで前菜、パスタ、メイン、ジュースが食べれます。

 内容的には、日本の教養課程を3年間行います。ただ、イタリアの大学は大学ごと、学科ごとによって個性がかなり異なりますので、なかには実践的な授業やテロンチーニという実習期間を厳格に定めたりもします。

 一定の単位取得後は、学位(ドットーレ)が取得できます。
   
2.CORSI DI LAUREA SPECIALISTICA A CICLO UNICO(統合専門的学位取得コース)
 入学資格は高等学校卒業以上。基本は5〜6年課程。1のトリエンナーレと下記のビエンナーレを統合して、専門教育を徹底的に行います。ゆえに対象となるのは医学、外科、歯科、義歯科、獣医学、建築学、建築工学、薬学などの各コース。テロンチーニは必須。

 一定の単位取得後は、学位(ドットーレ)が取得できます。

3.CORSI DI LAUREA SPECIALISTICA NON A CICLO UNICO(専門学位取得コース)
 入学資格は(日本人の場合)大学卒業、または1.のトリエンナーレを卒業していること。専攻課程2年なので、ビエンナーレとも呼ばれます。かなり専門性の高い教育が行われ、内容的には日本の修士課程または博士前期課程レベルと思ったほうがいいと思います。当然大学、学科ごとに差はありますが。

 一定の単位取得後は、学位(ドットーレ)が取得できます。

4.SCUOLE DI SPECIALIZZAZIONE NON MEDICHE(非医学分野専門学校)
 入学資格は(日本人の場合)大学卒業、または1、2、3のどれかを卒業していること。かなり高度な専門教育が行われます。基本 2年課程。学校によって差はありますが、日本の修士課程または博士前期課程レベル。卒業後は卒業資格が取得できます。

5.CORSI DI PERFEZIONAMENTO PER IL CONSEGUIMENTO DI "MASTER" di Primo livello (Annuale)
(マスター取得のための専門コース レベル1)
 入学資格は(日本人の場合)大学卒業、または1、2、3のどれかを卒業していること。ヨーロッパ統合にあわせてそれまで存在しなかった「マスター」資格のためにつくられた部分が大きい。基本的に学費は、これまでの1〜4のコースの2倍以上。またコース内容も、社会人のためのカルチャースクール的なものから、高度な専門知識を必要とするものまでさまざま。
 近年、スローフード関係などなど、社会人を対象とした授業日程にしばりのないコースが多々作られ、年金生活者や転職キャリアアップ志望者に人気。 

 おもに1年課程。
 卒業後はマスター資格取得。

6.CORSI DI PERFEZIONAMENTO PER IL CONSEGUIMENTO DI "MASTER" di Secondo livello (Annuale)
(マスター取得のための専門コース レベル2)
 入学資格は(日本人の場合)修士または博士前期課程卒業、または2、3、4、5のどれかを卒業していること。レベル2を名乗る分だけ、専門性はさらに高くなる。学費も概ね高くなる。

 おもに1年課程。

 卒業後はマスター資格取得。

7.CORSI DI DOTTORATO DI RICERCA (Triennale)(研究博士コース)
 入学資格は(日本人の場合)修士または博士前期課程卒業、または2、3、6のどれかを卒業していること。日本の博士後期課程レベル。学費は安かったりする。

 おもに3年課程。
 卒業後は研究者扱い。

8.CORSI SINGOLI(科目聴講生コース)
 日本の大学での専攻科目を基本として希望する科目だけを1年間受講でき、年限もなく、再申請によって延長も可能となる日本の聴講生に類似するコース。基本的に教授の指導を受けるため、イタリア関係の学問分野の学生が論文作成のためこの制度を使い滞在することが多いです。

 でも何の縛りもない分、とっても暇だったりします。
 コースが終わっても何の資格も残りません。