真冬の女の心意気、世界共通ナリ。


 日に日に寒さが厳しくなってきた今日この頃。ついついコタツから出るのが億劫になってしまう。PCを中心にお菓子にゴミ箱、本にCDプレーヤーのリモコンに定番のみかん。タツの上はいまそれらで山積み。冷え性の私にはコタツ抜きで冬なんて乗り切れない。そう、思ってた。でも去年は違う。イタリアにコタツはないから。そしてコタツ抜きの生活があれほどつらいものだとは、いまだかつて考えたことがなかった。

 イタリア、というと南の国のイメージが強いけれども、冬はちゃんとある。そもそも国全体の緯度が北海道を中心とした北日本と重なるぐらいなので、いくら陽光に恵まれているとはいえ寒い国なのだ。さらにその寒さに輪をかけるのが、暖房設備の圧倒的な不足&老朽化。猛暑で知れたる真夏でもエアコンなぞほとんどの家庭&公共施設に存在しないイタリア。なぜか?エアコンにしろ、暖房器具にしろ、すえつけるためには工事が必要。ところがかの国は景観保護の法律ががちがちで、家の門の色を塗り替えるだけにもお役所の許可がいるぐらい建築には厳しい。おまけにほとんどの建物は年代モノで、石としっくいの壁。単純に工事するだけでも時間と手間がかかる+お役所仕事=我慢すると言う図式が成り立つようだ。
 そんなわけで、ルネサンス以来の伝統を誇っていたペルージャ外国人大学の建物に通っていた去年のこの時期は、申し訳程度についた温水循環式の暖房のそばにいつもぴったりはりついていた。でもたいてい窓際にしかないので、効果はなし。そんなわけで冬が進むにつれ私の重ね着は増して行き、2月の雪の降りしきる頃には、授業中でもコートを含めて9枚を着込み、さらにマフラー、ニット帽、皮手袋を身につけて授業を受けていた。もう、もこもこの玉のような格好。それでも寒い。
 そんな私と対照的に、北欧から来ていた女の子たちは皮のジャケットに襟首の大きく開いたニットという薄着。「さすが北国で育つとこれぐらいの寒さは平気なんだね」と震えながら言うと、「とんでもない!スウェーデンでは暖房設備がはるかに充実してるからこんなに寒い思いをしたことはないわ!」とのお返事。でもそれほど寒そうに見えないけど・・・?と聞くと、「だってあまりに着込んだらかわいくなくなっちゃうじゃない!おしゃれのためなら寒いのぐらい我慢するわ」。

 一瞬真冬でも素足に短いスカートの渋谷の女子高生と彼女がダブりました。根性あるなぁ、それに比べて私ときたら・・・。