アーティスト・イン・レジデンス
国際交流基金のサイトを見ていたら、"Rapt! ― contemporary art from Japan"という事業を見つけました。
2006日豪交流年の企画らしく、
これまでのように「日本人が見た日本」を輸出するのではなく、オーストラリアと日本のキュレーターならびに研究者の議論と調査をもとに、双方の対話を通じて日本の現代文化を伝えていく点にあります。
というのがメインコンセプトで、それにともなって、
1.オーストラリア5都市で行なわれるレジデンス・プログラムによって、日本のアーティストと受入機関のキュレーターや地域住民が交流を図る。
2.その交流の成果として、メルボルン市内の複数会場で「現代日本」をテーマにした展覧会を開催。
3.オーストラリアと日本の知的かつ芸術文化的な交流の実践として、同じく「現代日本」をテーマとしたシンポジウムを開催。
の3本柱のプロジェクトを行うそうです。
「レジデンス・プログラム」というのは、アートの世界で「アーティスト・イン・レジデンス」と呼ばれる制度です。ちょうど昨日読んだ美術手帖の05年2月号「『アーティスト』になるための基礎知識」によると、
一般的に、ある期間、日々の生活環境から離れて生活をしながら作品制作をするという、滞在型のプログラムのことをいう。自らをこれまでと違う環境におき、新しい町や人との暮らしのなかで、「理性」はもとより、「動物的勘」も働かせながら、たくましく生きていく道だ。
と解説されています。絵画にとどまらず、舞台演劇、音楽、文芸といった幅広い分野を対象としていて、海外などに出て視点の変化をきっかけに新しいなにかをつかむという点では、広い意味での留学のなかに入るかもしれません。美術手帖によると、具体的なプロジェクトは、
などで紹介されています。
もともと50、60年代のヨーロッパで生まれた運動なので日本では知名度いまひとつで招聘する側としての活動もあまりないようですが、これからの運動なのでしょう。
はなしRapt!に戻すと、せっかくの日豪年なのだから中央区の古い空きビルなんかを開放して、オーストラリアのアーティストを招いたりしたら、きっとおもしろかったんじゃないかと個人的には思うのですが。月島に友人がいるので何度か行ったことがあるのだけれど、あの庶民的なんだけどごちゃごちゃしすぎるのではなくて開放的で、おまけに銀座がすぐという立地は、田舎の出身者にとっては同じ日本人でも刺激的です。
交流基金サイトによれば、
- 「若者文化・都市論の現在−(ポスト80年代〉のストリート文化から都市再開発まで」
- 「問題は本当に問題か」
- 「フィクションとリアリティ−現代日本の文化から」
をテーマに日本の社会学者、建築家、美術評論家のセミナーもあるそうなので、上京するときと重なったら行ってみようと思います。